自己破産と税金や社会保険の滞納分の取扱い
破産手続開始の申立てをすれば、債務者の財産の整理が始まります。
そして、破産の決定がなされると、免責について裁判所が審理をします。
免責の決定が下されれば、原則として、債務者は債務の支払義務を免れます。
これによって、債務者の経済的な更生が可能になるのです。
ただ、免責の決定があれば、すべての債務を免れるわけではありません。
国の政策として、たとえ破産して免責されても、国民の義務として支払うべき債務は支払わなければならないとして、例外が設けられています。
国や地方公共団体の税金がそれにあたります。
納税の義務は国民の義務として、憲法でも規定されています。
そのため、破産法でも、税金については免責の対象から外されているのです。
税金を滞納している場合、免責が決定された後でも、滞納分の税金は債務として残ることになります。
また、健康保険、厚生年金保険、労働保険などの社会保険料についても、税金と同様に、免責の例外とされています。
保険制度は国民がそれぞれ資金を出し合って支えるものです。
そのため、たとえ破産し免責されても、債務を免れることはできないのです。