管財事件とは
破産者に不動産や株式、預・貯金など多少とも財産が残っている場合、つまり「破産手続に必要な費用を捻出できるだけの財産」があるときには、破産手続開始決定と同時に裁判所によって破産管財人が選任されます。
破産手続開始決定の後、管財人が選任され、破産手続が進められる場合を管財事件といいます。
この場合は、破産者の財産を破産財団という形でひとまとまりにして、管財人の主導の下で、破産財団を処分してお金に換え、債権者に分配する手続をとっていきます。
破産管財人には、弁護士が選任されるのがふつうです。
管財人はあくまで管財事件の処理のために裁判所が選任した人で、すべての債権者の利益のために活動します。
破産者だけのために活動するわけではありません。
管財事件になったら
管財事件になるかどうかは、債務者に残っている財産が50万円程度あるかどうかが目安になっています。
住宅ローンが残っている家も、家財道具同様、その処分は原則として破産管財人に委ねられ、売却されてお金に換えられる運命になります。
破産手続開始決定があれば、もはや債権者といえども、破産手続を無視して勝手に取り立てをすることは許されません。
破産手続開始決定の前後になされた家財道具などへの差押えも、その効力を失います。
破産財団を処分して得られた金銭は、すべての債権者に、債権額に比例した割合で公平に分配されます。
この分配手続を配当といいます。
管財事件になれば、債権者集会が開かれます。
債権者に対する配当が終了すると、その旨を管財人は債権者集会で報告し、その集会終了後、裁判所が破産終結の決定を行って、破産手続が終了します。
管財事件の場合は、破産手続が終了するまでには、少なくとも1年以上の期間がかかるのが普通です。
破産財団に属する財産を売却・処分するのには時間と手間がかかりますから、場合によっては数年かかることさえあります。
そこで、破産した場合でも、一般には管財人が家を売却するまで、または競売手続がすむまでは、破産者は自宅に住み続けることもできます。
なお、いったん、管財事件として手続が進められていても、途中で破産財団(破産者の財産)の価値が減少したりして、破産手続の費用さえ支出することができなくなることがあります。
このような場合にも、やはり破産手続を続行することは意味がありませんので、破産手続廃止の決定がなされます。
この場合は、破産手続開始決定と同時に手続を打ち切るわけではないので、異時廃止といわれています。